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沖合展開事業の整備内容

これまでの「沖展」でハネダはこんなに便利になりました。

段階整備で輸送能力と利便性を向上

空の輸送力確保に対しては、滑走路年間処理能力を高めるため、3本の滑走路を効率的な配置で新設した他、航空機の地上走行のための誘導路、航空機が駐機するためのエプロンを、空港中央に縦貫する湾岸道路をはさんで東西に展開しています。

滑走路等は沖合いに移設、展開され、航空機騒音問題の抜本的解消が図られています。 陸の輸送力確保では、構内道路や東京モノレール・京浜急行空港線の鉄軌道等のアクセス施設を充実させています。さらに、共同溝や排水施設等の地下構造物や旅客・整備・貨物・管理に関わる数多くの施設を整備し、機能と合わせて高水準な利便と快適性の向上を図っています。

イメージカット

第I期事業では、新A滑走路を1988年(昭和63年)7月に供用し、滑走路処理能力を事業着手前の年間約16万回から約18万回に高めました。第II期事業では西側のターミナル諸施設を供用し、旧ターミナルからの空港移転を果たしました。

そして、第III期事業の第1段階で、1997年(平成9年)3月に新C滑走路を供用しました。新C滑走路は最も沖合いに位置しており、航空機騒音問題の解消と共に、名実ともに24時間利用を可能にしたものです。これにより、羽田空港発着枠の拡大に大きな役割を果たし、滑走路処理能力は約24万回に向上しました。

そして、III期事業2段階では2000年(平成12年)3月において、新B滑走路が供用開始し、「東京国際空港整備基本計画」における新設「滑走路」3本が整い、事業全体の完成に大きく近づきました。また、新A滑走路西側平行誘導路も、2001年(平成13年)2月に供用開始し、平成16年12月1日に、第2(東)旅客ターミナル地区が供用開始しました。

沖合展開事業計画図

 

第1期事業の整備概要

工事風景空撮

新A滑走路を整備し、1988年(昭和63年)7月に供用開始しました。 第I期事業は、新A滑走路の整備が主目的でしたが、その整備にあたっては滑走路直下に建設する大型地下構造物の公益共同溝・東京モノレール・環状8号線道路トンネル部・空港アクセス道路の一部の工事なども先行して行いました。

第1期事業での主要な施設

A滑走路
新A滑走路 延長3,000m 幅60m

新A滑走路は、旧C滑走路から450m沖合いに設けています。 軟弱な現地盤と建設残土が路体となる激しい土質変化のある埋立地盤上の空港舗装であり、 航空機の繰り返し荷重による軟弱地盤への影響を考慮し、舗装構造を、下層路盤に剛性の高い水硬性スラグ(HMS)を使用するサンドイッチ構造としています。

第2期事業の整備概要

工事風景空撮

西側地区の旅客・貨物・整備ターミナル及び管制塔などの西ターミナル諸施設やエプロンを整備し、1993年(平成5年)9月に供用開始、旧空港からのターミナル移転を果しました。 第II期事業では、空港中央に東京湾岸道路が縦貫し、全国で初めて、高速道路が空港内に乗り入れてターミナルと連絡すると共に、約20kmにわたり整備した構内道路と合わせて、道路アクセスの利便性を一段と高めました。また、東京モノレールもターミナルに直接乗り入れ、鉄軌道アクセスの利便性も一段と向上しました。 また、東京湾岸道路をわたって東西を連絡する道路連絡橋など9つの橋梁が架設され、緑化した構内道路などと共に、うるおい、やすらぎ、アメニティを追求した新しいタイプの空港都市づくりがII期事業によって誕生しています。

第2期事業での主要な施設

西旅客ターミナル
西旅客ターミナル

ビッグバードの愛称で親しまれる西旅客ターミナルビルの両翼長は約840m。この長大なビルのエアサイドには、合計24基のボーディングブリッジが設けられ航空機搭乗の利便性を高めています。ランドサイドにはダブルデッキが設けられて出発階(2F)、到着階(1F)の入口部に直接車が乗りつけられます。ターミナルビルの延床面積は約291,000m2で、航空会社のオペレーションセンター機能施設との複合ビルとなっています。

立体駐車場
立体駐車場

ターミナルビル前面には、2棟で約4,700台収容の大型立体駐車場が設けられています。4階からターミナルビル3階に連絡できます。

構内道路連絡橋
構内道路連絡橋

空港中央を縦断する湾岸道路を挟んで東西のターミナルを連絡する橋梁など9橋が設置されています。空港内にこれだけ多くの橋梁が整備されたのは、わが国では初めてのことです。 また、ターミナルビル前面道路はダブルデッキ方式による橋梁で作られており、この前面道路から望まれる羽田スカイアーチは、世界でも珍しい橋梁形式で架設されたもので羽田空港のシンボルとなっています。

立体駐車場
エプロン

旅客・貨物・整備ターミナルのローディングエプロンの他、航空機の夜間駐機のためのナイトステイエプロン、点検・洗機のためのメンテナンスエプロン、磁気コンパス点検のためのコンパススイングエプロン等を設けています。これらのエプロン舗装には、コンクリート舗装を基本に地区別利用特性・地盤沈下特性及び補修条件等を考慮した舗装を採用しています。特に、旅客ターミナルエプロンの一部には、施設供用後も見込まれる不同沈下に対応して、空港をクローズする夜間補修で翌朝にはエプロン施設の開放を可能とするリフトアップ補修を前提にしたプレストレストコンクリート(PC)舗装を採用しています。

管制塔
管制塔

高さ77.6mで、新東京国際空港(87.3m)、関西国際空港(86.4m)につぐ高さです。 管制室を2本のタワーで支える構造で、北側の第2庁舎に東京空港整備事務所、南側の第1庁舎に東京航空局東京空港事務所があります。円形・半円形を基調にしたデザインで、10階部分には、水の移動によりエネルギーを吸収させ消散させる制振装置が設置されています。

格納庫
格納庫

西側整備エプロンには、ターミナルビル側から日本エアシステム(2棟)、日本航空(1棟)、全日本空輸(1棟)の計4棟の格納庫が建設されました。 また、整備ターミナル地区には、航空会社のラインストアーや車両整備工場のほか、空港内の廃棄物を処理するエアーポートクリーンセンターや空港内地域冷暖房を供給するエネルギーセンター、電気供給施設が建設されました。

貨物施設
貨物施設

貨物ターミナル地区には、航空会社上屋・郵便上屋、代理店上屋のほか、カーゴセンタ、機内食工場などが建設されました。

第3期事業の整備概要

空撮

沖合展開事業の第III期事業では、第1段階で新C滑走路、京浜急行空港線ターミナル延伸での鉄道トンネルなどを整備し、さらに第2段階で新B滑走路を2000年(平成12年)3月に供用し、新A滑走路西側平行誘導路も2001年(平成13年)2月末に供用開始しています。 そして2004年(平成16年)12月に、第3段階である第2旅客ターミナル地区が供用開始しました。

第3期事業でこれまで整備した主要な施設

新C滑走路
新C滑走路 延長3,000m 幅60m

1997年(平成9年)3月に供用開始しました。新A滑走路との中心間隔を1,700mとするオープンパラレル配置とし、滑走路の独立運用を可能とすると共に、最も沖合に設けることで航空機騒音を解消した24時間運用の滑走路です。 新C滑走路の建設用地は、沖合展開用地の中でも最も沖部に位置する埋立て間もない地盤であることから、地下水位が高く施設供用後の残留沈下量も供用開始後10年間で1.5mが見込まれました。リサイクル材等を活用した路床排水層の対策の他、残留沈下に対しては舗装体の上げ越しによる施工で対応を図っています。

京浜急行空港線ターミナル延伸
京浜急行空港線ターミナル延伸

京浜急行空港線のターミナル乗り入れが1998年(平成10年)11月に開始されました。 延伸路線の内、供用している滑走路・エプロン等が位置する直下1.5km区間では、シールド工法による鉄道トンネルを築造しました。

新B滑走路
新B滑走路 延長2,500m 幅60m

第III期事業の第2段階で、1997年(平成9年)4月に着手し、2000年(平成12年)3月供用開始しました。 新B滑走路は、現B滑走路から380m海側に移動した位置に建設することによって、航空機騒音問題の解消を図ると共に、高速脱出誘導路を付加する他、併せて整備する新A滑走路西側平行誘導路との円滑な運用により、滑走路処理能力のさらなる向上に資するものとして整備されました。 新B滑走路の整備にあたっては、国内では始めてとなる耐震強化滑走路と位置付け、液状化対策の地盤改良を行っており、新A滑走路との交差部450m間については、運用に支障を与えない既設舗装直下の液状化対策を図った改良工法を採用しています。 これらの地盤改良による液状化対策で、首都圏における大規模な地震の発生に際しても、緊急物資等の輸送能力を確保します。また、近年の社会要請でもある再生資源の利用促進に的確に応えて、旧空港施設からの舗装発生材をリサイクルし、新設舗装材として有効活用しています。

新A滑走路西側平行誘導路
新A滑走路西側平行誘導路

新A滑走路西側平行誘導路は延長2,000m×幅員30mで、新B滑走路へ着陸した航空機を旅客ターミナルへ効率よく誘導し、新B滑走路と一体となり機能することで滑走路の処理能力を向上させるものです。 新B滑走路と同様に液状化対策の地盤改良を実施しています。供用時には、滑走路から誘導路を通じて耐震強化された航空機導線が確保されることになります。また、新A滑走路西側平行誘導路の地下には、京浜急行空港線やアクセス道路・共同溝などの大型構造物が横断しています。そのため地盤改良では、これら地下構造物への影響を考慮しながら、SCP(サンド・コンパクション・パイル)工法の他、SGM(軽量盛土)やCDM(深層混合処理)による改良工法を併用し進めました。2001年(平成13年)2月に供用開始しました。

第2旅客ターミナルビル
第2旅客ターミナルビル

第III期整備の最終段階である第2旅客ターミナル地区が完成し、平成16年12月1日供用開始しました。 地区内の第2旅客ターミナルビルは、「本館+ピア」の形式で、15固定スポットを確保し、到着を1階、出発を2階で取り扱う2レベル方式です。

第1・第2ターミナルは連絡地下通路で結び、歩行連絡も容易になりました。また、ターミナルビル前面道路下の地下部分には、第1旅客ターミナルから延伸する東京モノレールの駅舎を設け、京浜急行駅と共に地下で連絡し、第1旅客ターミナルと同等のアクセスサービスレベルが確保されました。

ターミナルビル連絡通路

第2旅客ターミナルエプロン
第2旅客ターミナルエプロン

第2旅客ターミナルエプロンには、航空機へ直接乗降できる固定スポットが15スポット整備されました。 これにより、航空機への直接乗降は現状より第1・第2ターミナル合わせて5割から9割程度に高まり、旅客利便性を一層向上させます。ボーディングステーションスポットを含め、第2旅客ターミナルのスポット数は27スポット(国内線25、国際線2)となります。また、エプロン内誘導路・スポットは将来の大型機にも対応可能な配置としています。

P3立体駐車場
駐車場

ビル前面には、第1旅客ターミナルと同様に一般車両のための立体駐車場及びタクシープール、バスプールが整備されました。立体駐車場は連絡橋によるビルとの連絡を図り、北側に約2,459台規模で1棟を設け、第1旅客ターミナルの立体駐車場と合わせて、約7,100台が確保されています。

構内道路
構内道路

ターミナルビル前面は、ダブルデッキとし、第1旅客ターミナル同様、1階を到着、2階を出発階とします。 湾岸道路には、ランプを3ヶ所新たに設けるなど、首都高速道路湾岸線、空港連絡道路、国道357号線及び既存構内道路との連絡における羽田空港ターミナル地区全体の円滑なネットワークが図られています。

空港連絡道路の延伸
空港連絡道路の延伸

空港連絡道路は、旧空港ターミナル近くの環状八号線から分岐し第2旅客ターミナルへ連絡します。A滑走路やエプロンの地下を横断し、第2旅客ターミナル連絡への利便性を向上させ、羽田空港の一層の道路アクセス充実へ向けるものです。トンネル構造となる地下部の建設は、第1期及び第2期事業下で行われていますが、第2旅客ターミナルの供用に合わせ、全延長が開通しました。

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