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東京湾の開発保全航路「東京湾中央航路」■開発保全航路とは 港湾法第2条第8項に規定され、港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針(平成26年1月 国土交通省港湾局)においては「船舶航行量が多く、船舶交通の要衝である区域等において、船舶の大型化や高速化に対応して、海上交通の安全性、効率性を向上させるため、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、関門海峡等に開発保全航路を配置する。」とされています。 ■東京湾の重要な2つの航路東京湾内の船舶の輻輳化や大型化、危険物輸送の増大に対応した海上交通の安全性確保のために「海上交通安全法」が昭和47年7月に施行されたことにより、中ノ瀬航路と浦賀水道航路の区域が明確化され、航路を航行するルールが定められました。 ■海難事故が多発この2つの航路は、首都圏のみならず日本の経済や社会活動を支える非常に重要な航路となっていますが、浦賀水道航路には満潮時に殆ど水没している第三海堡が存在し、中ノ瀬航路には航路区域内に一部浅瀬があるなど、海上交通安全法が制定された後も大型船通行の制限や海難事故が頻発し、航行の難所となっていました。 ■開発保全航路の区域に指定(昭和53年)大型船舶が安全に航行できるよう航路内の障害物撤去や必要水深を確保するために、昭和53年4月に港湾法の一部を改正し、中ノ瀬航路全域及び浦賀水道航路の一部(第三海堡周辺海域)を開発保全航路の区域に指定して、国自ら開発・保全することとされました。
■ 東京湾口航路事業の開始(平成12年〜平成20年) その後、平成12年3月に漁業補償が締結されたことにより、本格的に「東京湾口航路事業」が開始されることになりました。 ■開発保全航路の指定区域がさらに拡大(平成20年12月) 開発保全航路の指定以降も、外貿コンテナ貨物量の増加や輸送船舶の更なる大型化、危険物搭載船の増加などにより、海難事故に伴う航路閉塞など経済活動への重大な影響が懸念されること、また、航路障害物が発生した場合に速やかな撤去を実施できるよう、平成20年12月に港湾法の一部が改正され、開発保全航路の指定区域がさらに拡大されました。 ■東日本大震災を踏まえ「東京湾中央航路」として指定区域がさらに拡大(平成26年) 平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、太平洋沿岸へ大津波による甚大な災害をもたらしましたが、東京湾においても津波に対応するため船舶の動静に大きな変化がありました。この経験から東京湾の重要性を考慮し、平成25年6月5日に港湾法の一部が改正されました。
全国の開発保全航路現在、全国で15の開発保全航路が指定されています。その中には、東京湾の東京湾中央航路、本州と九州間の関門航路のように、国際・国内海上輸送ネットワークを担っている大規模な航路から、熊本県の本渡瀬戸航路や沖縄県の竹富南航路のように規模は小さいながら地域の島々の生活を支える航路が指定されています。
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