東京湾の3つの海堡
明治から大正にかけて、首都東京を防衛するために東京湾口部に海堡(かいほう)と呼ばれる海上要塞が建設されました。海堡は、砲台を設置するために造られた人工島で、千葉県富津岬側から神奈川県横須賀市側にかけて3つの海堡が建設されました。
このうち、第三海堡は、完成から2年後に発生した関東大震災によって壊滅的な被害を受け、ほとんどの構造物が海中に没し暗礁化して航路障害となっていたことから、船舶航行の安全を確保するために、平成12年度から平成19年度にかけて撤去工事を実施しました。
ここでは、東京湾海堡建設の意味と歴史について紹介します。特に、撤去された第三海堡建設は、当時の世界最先端の技術を導入したプロジェクトであり、アメリカ陸軍から自国の海堡建設の参考にするため、資料提供を求められたほどです。第三海堡は、不幸にして関東大震災で甚大な被害を受けましたが、その建設技術は今日の海洋・港湾建設技術の基礎となり、多大な経験と教訓を与えてくれました。
第一海堡
(2000.10.19撮影) |
第二海堡
(2000.10.19撮影) |
第三海堡
(2000.10.19撮影) |
東京湾海堡基礎データ
要 目 |
第一海堡 |
第二海堡 |
第三海堡 |
着 工 年 月 |
明治14年(1881)8月 |
明治22年(1889)7月 |
明治25年(1892)8月 |
竣 工 年 月 |
明治23年(1890)12月 |
大正3年(1914)6月 |
大正10年(1921)3月 |
建 設 期 間 |
9年 |
25年 |
29年 |
建 設 地 |
富津岬先端の海中 |
第一海堡の西方2,577m |
第二海堡南方2,611m
走水低砲台の北方2,589m |
|
4m60cm
1m20cm |
12m
8m |
39m |
海 底 地 質 |
貝殻混合の砂 |
貝殻混合の砂 |
砂利混じり砂 |
基礎上部面積(m2)
(満潮面での約面積) |
23,000 |
41,000 |
26,000 |
|
東京湾海堡の使用材料と工事費
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石材(m3) |
砂(m3) |
人夫(人) |
費用(円) |
石材 |
埋填砂※ |
諸材料 |
職工・人夫 |
計 |
第一海堡 |
73,264 |
129,385 |
316,776 |
172,947 |
25,230 |
69,256 |
110,872 |
378,305 |
第二海堡 |
485,968 |
299,243 |
495,855 |
296,796 |
92,107 |
154,816 |
247,928 |
791,647 |
第三海堡 |
2,781,864 |
540,816 |
435,290 |
1,795,415 |
239,365 |
197,743 |
261,174 |
2,493,697 |
合計 |
3,341,096 |
969,444 |
1,247,921 |
2,265,176 |
356,702 |
421,814 |
619,973 |
3,663,649 |
[資料]『東京湾海堡基礎築設方法及景況取調書』、
明治39年8月 より作成。 |
- 工事費は埋め立て造成費のみで、大砲などの兵備費は含まない。
- 第一海堡は、明治14年〜20年までの実績額。
第二海堡は、明治22年〜32年までの実績額。
第三海堡は、明治25〜明治40年3月までの予定額。
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※埋填砂(うままきすな)とは、建設するための埋⽴てに使⽤する砂のことです |
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