事業概要

東京湾海域環境創造事業 【干潟の保全と再生】

昔の東京湾

かつて、東京湾の内港の海岸一帯には広大な干潟が存在しており、古くから貝や海苔の養殖業が盛んでした。それは大規模な貝塚が密集していたり、江戸時代の浮世絵にもよく取り上げられていることなどからもうかがい知ることができます。当時から人々の生活は海、そして豊かな生物を育む干潟と深い関わりを持っていました。

干潟が環境に果たす役割

干潟は、地域の自然環境に対して重要な役割を持っています。

海水の浄化の場として

干潟に生息するバクテリア、ゴカイ、アサリなどの二枚貝は、下水や河川から流れ込む窒素やリンなどの栄養塩を吸収して増殖する植物プランクトンを餌にします。その結果、栄養塩や有機物が分解され海水が浄化します。

環境循環の場として

海底まで届く太陽の光が植物プランクトンの成長を助けそれを食べる貝やゴカイなどの底生生物を増やし、さらにそれらを獲物とするカニや魚や鳥が集まる、といったように食物連鎖による循環を展開しています。

最後の大規模な干潟「三番瀬」

三番瀬は、東京湾の一番奥に残された最後の大規模な干潟・浅瀬です。干潮時の水深は1メートルよりも浅くなります。この干潟と浅瀬は大部分が砂地でその面積は約1200haあります。三番瀬のような干潟・浅海域にはプランクトンなどが栄養分として蓄積されており、それを食べる二枚貝やゴカイ類など干潟の生き物がたくさん生息しています。さらにそれを食べる魚類や鳥類なども集まります。

夏の東京湾には、赤潮が多く発生しています。そんな時でも三番瀬では驚くほど透きとおっています。それは、プランクトンが多い海水は、干潟や浅瀬に生息する底生生物にとって何よりのご馳走だからです。 豊かな三番瀬にも、多くの課題があります。最も深刻で恐れられているのは青潮と呼ばれる現象です。青潮が三番瀬の浅瀬に入り込み、貝やカニ、時には魚までもが酸欠で死ぬという大きな被害をもたらしています。

赤潮とは?

赤潮発生時の千葉中央地区

赤潮とは河川などから海に大量の窒素やリンなどが流入し富栄養化が進むことにより、それらを栄養分としている植物プランクトンが大量発生する現象です。春から夏にかけて気温が上がり日照時間が長くなると発生しやすくなります。赤潮になると海水の一部分の色が変化し、大抵、赤褐色になることが多いのですが、発生したプランクトンによって、その色は異なります。また、発生する場所も、海だけでなく湖でも起こり得ます。赤潮が発生すると、プランクトンが魚のエラに詰まり窒息したり、有毒なプランクトンや水中の酸素の減少により、魚介類が死ぬなどの悪影響を及ぼすことがあります。

青潮とは?

青潮発生時の千葉中央地区

家庭や工場などから排出される汚水や植物プランクトンの死骸などの有機物が海底に沈み、そこで有機物は細菌によって分解されます。このとき酸素を消費し、底層中の酸素が減少し、貧酸素水塊が発生します。塩分濃度や水温の変化により海水は成層をつくり混合しにくくなるので、大気から水中への酸素の供給がなく、ますます酸素が少なくなります。北東の風が吹くと、表層の水が沖に流れ、底層にたまっていた酸素の少ない水が表層に上昇してきます。海水中にたくさん含まれている硫酸イオンは、酸素のない水中で、硫酸還元菌により還元されて硫化物イオンができ、表層に上昇することにより大気中の酸素と反応して硫黄ができます。硫黄や多硫化物イオンが光を散乱するために、海面の色が青く見えます。

国土交通省 関東地方整備局 千葉港湾事務所

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